【証券外務員】2.金融商品取引法

前回の続き。

1.金融商品取引法が規制対象としている有価証券の範囲には、株券や社債(第一項有価証券)が含まれるが、約束手形、小切手は含まれない

2.第一項有価証券とは、従来(旧証券取引法上)の有価証券をいう。第二項有価証券とは、投資スキーム持分等のみなし有価証券をいう。

3.市場デリバティブ取引とは、デリバティブ取引を開設する者の定める基準及び方法に従って行われるデリバティブ取引をいう。店頭デリバティブ取引とは、金融商品市場及び外国金融市場によらないで行うデリバティブ取引をいう。

4.金融商品取引法は、国民経済の健全な発展および投資者の保護に資することを目的としている。

5.金融商品取引業者とは、内閣総理大臣の登録を受けて、金融商品取引業を営む者をいう。

6.金融商品取引法では、金融商取引業を4種類に分類している。それらは、「第一種金融商品取引業」、「第二種金融商品取引業」、「投資助言・代理業」、「投資運用業」の4つである。

7.銀行、共同組織金融機関その他政令で定める金融機関は、原則として有価証券関連業または投資運用業を行うことが禁止されている。

8.有価証券の売買の取次ぎとは、自己(金融商品取引業者)の名をもって委託者(顧客)の計算で有価証券を買い入れまたは売却することを等を引き受けることでブローカー業務と言われている。

9.有価証券の引受とは、有価証券の募集・私募または売出しに際し、発行体・売出人のためにその販売を引き受けることをいう。

10.有価証券の引受けのうち、発行者・売出人から直接引き受けることを、元引受けという。元引受けを行う場合、第一種金融商品取引業者として内閣総理総理大臣の登録を受けなければならない。

11.有価証券の売出しとは、既に発行された有価証券の取得の申し込みの勧誘のうち、第一項有価証券については、勧誘対象者が多数(50名以上)の者を相手方として行う場合をいう。
なお、新たに発行される有価証券の取得の申し込みの勧誘を「募集」という。

12.私設取引システム(PTS)運営業務とは、電子情報処理組織を使用して、同時に多数の者を一方の当事者または各当事者として、あらかじめ定めた売買価格の決定方法によって、有価証券の売買又はその媒介等の業務を行うことである。

13.金融商品取引業者が私設取引システム(PTS))運営業務を営む場合には、内閣総理大臣金融庁長官)の認可が必要である。

14.第2種金融商品取引業とは、金融商品取引業のうち、従来の商品投資販売業、信託受益権販売業を行うものである。

15.金融商品取引法では、金融商品取引業(第1種金融商品取引業、第2種金融商品取引業、投資助言・代理業、投資運用業以外の業務を、その内容により、付随業務、届出業務、承認業務の3つに分類している。

16.付随業務には、信用取引に付随する金銭の貸付けや、有価証券の貸借、代理などがある。

17.金融商品取引業のうち、第一種金融商品取引業または投資運用業を行う者は、付随業務については、内閣総理大臣金融庁長官)に対して届出や承認を得る必要がなく行うことができる。

18.金融商品取引業者のうち、第一種金融商品取引業または投資運用業を行う者が貸金業」「宅地もしくは建物の賃貸」の業務を行う場合には、内閣総理大臣金融庁長官)に届け出る必要がある(届出業務)。

19.金融商品取引業者は、登録申請書または添付書類の記載事項に変更があったときには、登録申請書の場合はその日から2週間以内に、添付書類の場合は遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

20.第一種金融商品取引業は、自己資本規制比率120%を下回らないようにしなければならない。

21.登録外務員以外の者は、外務行為は許されていない。

22.金融商品取引業者等は、外務員の負った債務について直接履行する責任を負う。
※)外務員は登録取消処分日から5年を経過しない者は登録できない。
※)外務員は、その所属する金融商品取引業者等に代わって、一切の裁判外の行為を行う権限を有するものとみなされる。

25.金融商品取引業者等は、金融商品取引契約を締結しようとするときは、契約後すみやかにあらかじめ、契約締結前交付書面を顧客に交付しなければならない。

27.金融商品取引所に上場されている有価証券の売買などについては、過去1年以内に包括的な書面を交付している場合は、契約締結前の書面交付義務が適用除外される。

28.いわゆる投資顧問契約を締結した顧客は、金融商品取引契約に係る書面を受領した日から起算して7日10日を経過するまでの間、書面により当該金融商品取引契約を解除することができる(クーリングオフ)。
※)クーリングオフしてもそれまでの報酬の支払い義務は残る。

29.個人向けの店頭デリバティブ取引全般については、招請勧誘の禁止の対象となる。

42.特定投資家制度において、地方公共団体は、選択により一般投資家に移行可能な特定投資家選択により特定投資家に移行可能な一般投資家に分類される。

43.有価証券関連業務を行う金融商品取引業者は、社債管理者または担保付社債信託契約の受託会社にはなれるが、引受人にはなれない受託会社にはなれないが、引受人になることはできる

45.断定的判断の提供により、顧客が損失を被った場合、金融商品取引業者は、顧客に対して元本欠損額の無過失責任を負う。
※)無過失責任(むかしつせきにん)(No-fault liability)とは、不法行為において損害が生じた場合、加害者がその行為について故意・過失が無くても、損害賠償の責任を負うということである。

54.元本払戻金(特別分配金)に支払われる追加型株式投資信託は、NISA(少額投資非課税制度)の制度上のメリットを十分享受できる。享受できない。なぜなら、追加型株式投資信託のうち元本払戻金(特別分配金)は、そもそも非課税であるから。

57.銀行、協同組織金融機関その他政令で定める金融機関以外の者は、法人に限り法人に限らず個人も内閣総理大臣の登録を受けて、金融商品仲介業を営むことができる。

60.信用格付業務を行う法人は、内閣総理大臣登録を受けなければならない登録を受けなくてもよい。なお、内閣総理大臣の登録を受けた者を、信用格付業者という。

65.証券金融会社が行う貸借取引貸付とは、金融商品取引業者又はその顧客に取引所の会員である金融商品取引業者に対し信用取引の決済に必要な金銭又は有価証券を貸し付けることである。

66.内閣総理大臣は、一定の要件を備える者をその登録により申請を受けて紛争解決業務を行う者として、指定できる。

67.金融ADR制度における苦情の処理・紛争の解決手続きについては、法律において詳細な手続き規定が設けられている法律における詳細な手続き規定は設けられていない

73.会社関係者が、上場会社等の業務に関する重要事実を公表前に入手した場合には、会社関係者でなくなったとしても、会社関係者でなくなった後1年間は、当該重要事実が公表されていなければ売買できない。

78.上場会社の業務などに関する重要事実には、「資本金の額の減少」、「合併」、代表取締役の解任・選任」、「主要株主の異動」などが含まれる。

79.内部者取引において主要株主とは、所有する株式数が株主名簿に記載されている上位10位までのものをいう総株主等の議決権の100分の10以上の議決権を有する株主をいう

80.上場会社等の業務などに関する重要事実に該当する事項について、重要事実が日刊紙を販売する新聞社または放送機関等の2以上の報道機関に対して公開され、かつ、公開した時から6時間12時間以上経過した場合、重要事実が公表されたとみなされる。

81.上場会社等が、金融商品取引所が運営する適時開示情報伝達システム(TDnet)に重要事実を掲載することによって、公衆縦覧に供されるとともに直ちに公表されたことになる
※)この場合、12時間ルールは適用されない。

86.募集または売出に際して、内閣総理大臣に届出をだしているものでなければ募集などできない。

87.企業内容等開示制度が適用される有価証券には、国債証券、地方債証券、金融債も含まれる含まれない

90.既に開示が行われている場合における有価証券の売出については、内閣総理大臣金融庁長官)へ届出を行えば、発行者は、目論見書の交付が免除される。発行者等は、引き続き目論見書の交付が要求される。ただし、発行者等以外の者が行う場合は、目論見書の交付は免除される。

91.資本金が5億円以上で、かつ、最近5事業年度のいずれかの末日において、株主名簿上の株主数が1000人以上の会社は、流通市場における開示制度の適用対象会社となる。
※)このような会社のことを「外形基準による会社」という(資本金と株主数を基準)。

92.乗法開示制度が適用される企業は、有価証券報告書を事業年度ごとに当該事業年度経過後1ヶ月以内3ヶ月内閣総理大臣金融庁長官)に提出しなければならない。

94.有価証券報告書の提出後に、財政状態及び経営成績に著しい影響をあたえる事象が発生したときは、発行会社は訂正報告書時報告書内閣総理大臣金融庁長官)に提出しなければならない。

99.市場外で60日間に11名以上の者から株券等を買い付け、その買付後の株券所有割合が3%5%を超える場合等は、原則として公開買付によらなければならない。

101.公開買付届出書は、提出された日から買付期間終了後10年間5年間を経過する日までの間、公衆の縦覧に供される。

104.大量保有報告書を提出すべき者は、大量保有者となった後に、株券等保有割合が3%1%以上増減等した場合には、その日から7日5日以内に変更報告書を提出しなければならない。

105.大量保有報告書等の不提出や虚偽記載については、3年5年以下の懲役もしくは300万円500万円以下の罰金が処され、又はこれが併科される。