3.公募(1) 〜 募集・売出、公募・私募、引受幹事団・主幹事証券会社

前回は委託手数料について取り上げた。
今回は、手数料獲得の主役を取り上げる。

◎募集・売出
まず、公募とは何か。
でもその前に、募集とは何か。

募集とは、新たに発行される有価証券(株式・債券)を投資家相手に同一条件で勧誘する行為のこと。

そして、募集には2通りあって、そのうちの1つが公募である。

募集には、公募と私募の2通りがある。
1.勧誘先が不特定多数(公募
2.少人数(50人未満)もしくは機関投資家のみ(私募

大規模ディールは通常、公募になる。

また、同じく有価証券を勧誘する場合でも、新たに発行される有価証券(株式・債券)を勧誘する募集に対して、既に発行された有価証券を勧誘する売出というものもある。

募集と売出の違いは下図。

◎引受
さて、公募・売出のいずれにせよ、投資家(資金を提供する側)と資金調達側(資金提供を受ける側)の仲介をするのが証券会社(引受)である。

それでは、引受は1つの証券会社が行うのであろうか。答えはNOである。
通常引受は複数の証券会社が行い、それらの証券会社のことを引受幹事団と呼ぶ。その中で主導的地位を握るのが主幹事証券会社である。
彼らはどのようにして引受という仕事の対価を得るのだろうか。結論から述べると、「引受手数料」である。発行企業から引受証券を買い取る価格と投資家へ販売する価格との間にスプレッド(引受手数料)を付けるのである。

◎引受手数料の配分
引受証券会社は、受け取った引受手数料を社内でどのように配分するのだろうか。

約半分が引受手数料として、セールスに支払われる。
残りの半分は、引受業務の中心的プレーヤーであるキャピタルマーケットへ支払われる。

さて、主幹事証券とそれ以外の証券との間に差は無いのだろうか。当然ある。
主幹事証券になると、主幹事のみに配分される手数料(主幹事プレシピアム)がある。また、投資家へのアロケーションを決める権限が主幹事にある。投資家へのアロケーションとは、公募・売出に申し込んできた投資家に対して、どのくらいの株数販売するかを決めることである。

◎引受業務での競争
株の委託手数料競争ではネット証券は強力な存在だが、引受に関しては総合証券のライバルではありえないとのこと。

確かに、自己売買部門?を持たない証券会社は、募集残の処理をどのようにするのだろうか。
総合証券では、セカンダリー部門のトレーディングブックとは別勘定のシンジケーションブックで引き取って、粛々と市場で売っていくらしいが。